「実家がモノで溢れてきて心配。でも、母や父に片付けの話をどう切り出せばいいか分からない…」
「昔からモノを大切にする親だから、不用品だらけでも『捨てるな』と言われそうで、なかなか言い出せない…」
もしあなたが今、そのような葛藤を抱えているなら、そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
親の住まいを守りたい気持ちと、親の思い出を尊重したい気持ちの間で、多くの方が深く悩んでいますよね。

しかし、ちょっと待ってください!
その「実家の大荷物」の中に、あなたが若い頃や、家を出る際に「とりあえず置いておいてもらおう」と実家に預けたままになっているモノは含まれていませんか?

私たちが実家にモノを置いてきてしまう、ごく自然な理由

多くの人が実家に自分の荷物を置いてきがちです。
私自身も実家に帰省するたびに、かつて自分の部屋だった場所や、物置の隅に、懐かしいけれどもう使っていない私物を見つけることがあります。
なぜ、私たちは自分のモノを実家に置いてきてしまうのでしょうか?
「いつか使うかも」の魔法
学生時代の教科書、部活動の道具、昔のアルバム、趣味で集めていたコレクション…。
「いつかまた読むかも」「思い出だから捨てられない」と、新しい生活に持っていくにはかさばるけれど、捨てるには忍びないモノたち。
とりあえず実家なら置いておける、という安心感がありましたよね。
引越しの際の時間的・物理的制約
卒業や就職、結婚などで実家を出る際、限られた時間の中で全ての荷物を運び出すのは至難の業です。
「とりあえずこれだけは持っていこう。残りはまた今度…」と、後回しにしてしまった経験、ありませんか?
親の「置いていきなさい」という優しさ
「せっかくだから置いていきなさい」「置いておいてあげるよ」という親御さんの言葉に甘えてしまうことも。
親心としては、子がいつでも帰ってこられるように、子の痕跡を残しておきたい、という愛情の表れでもあります。
親への気兼ね
昔のモノを勝手に処分して親が嫌な顔をするのではないか、と心配する気持ちから、なかなか手を出せずにいた、ということもあるかもしれません。
これらの理由は、実家への甘えや、あるいは優しい気持ちからくるものです。
しかし、その「とりあえず」や「後で」が、積もり積もって親御さんの住まいを圧迫し、片付けを阻む一因になっている可能性は否定できません。
「自分のモノ」が、親の片付けを止めている現実

次は親御さんの立場になって考えてみましょう。
「これはあの子のモノだから、勝手に捨てられない」
「いつか取りに来るかもしれないし…」
という心理が働き、あなたの荷物が、親御さん自身の片付けを躊躇させる原因になっていることがよくあります。
リビングの隅に置かれたダンボール、物置にぎっしり詰まった思い出の品々。
それらは、親御さんの生活スペースを奪い、本来なら使えるはずの収納を塞いでいるだけでなく、「片付けたい」という意欲そのものを削いでしまっているかもしれません。
実家の片づけは、まずは「自分のモノを0にする」
親御さんに直接「片付けてほしい」と伝えるのは、本当に難しいことです。
親子だからこそ感情的になったり、お互いに傷つけ合ってしまったりするリスクも伴います。
そこで提案したいのが、「親を説得する」というアプローチではなく、「まずは粛々と自分のものを実家から0にする」という、静かで具体的な行動です。
次に実家に帰省する機会があれば、まずは親御さんにこう伝えてみましょう。
「前に実家に置いていった自分のモノがあるでしょう?あれ、そろそろ整理して持っていこうかと思って。少し時間をもらえるかな?」
この言葉であれば、親御さんは「自分の荷物を片付けろ」と責められているようには感じません。
むしろ、「あら、そうかい」「じゃあ手伝ってあげようか」と、意外な反応が返ってくるかもしれません。
穏やかに、感謝を込めて進めるヒント

自分のモノを整理する際には、いくつかのポイントがあります。
「自分のスペース」から手をつける
まずは、かつて自分の部屋だった場所や、物置の中で「自分のモノ」と明確にわかる範囲から手をつけましょう。
親御さんのモノには、絶対に勝手に手を出さないことが重要です。
思い出話に花を咲かせる
「これ、〇〇の時に使ってたおもちゃだ!」など、モノにまつわる思い出話を親御さんと一緒にすることで、片付けが苦痛な作業ではなく、楽しいコミュニケーションの時間に変わります。
感謝の気持ちを伝える
「長い間置いておいてくれてありがとう」「たくさん助けてもらったね」と、これまでの感謝の気持ちを言葉で伝えましょう。
親御さんの心は、きっと温かい気持ちで満たされるはずです。
持ち帰るか、適切に処分する
もう使わないと判断した自分のモノは、持ち帰るか、責任を持って自分で処分しましょう。(親御さんに処分をお願いすると、再びしまってしまうことがあります)
この時、「実家に置いておくとまた負担になるから、きちんと自分で処分するね」と伝えることで、親御さんも「無理に置いておく必要はないんだ」と感じてくれるかもしれません。
親御さんのペースを尊重する
焦りは禁物です。1度に全てを終わらせようとせず、親御さんの体力や気持ちを優先し、無理のない範囲で進めましょう。
何日かに分けて作業する、次回の帰省時にまた続きをする、というスタンスで大丈夫です。

このプロセスを通じて、親御さんは「自分の子どもが、自分のことを考えて行動してくれている」と感じ、あなたへの信頼感が深まるでしょう。
そして、あなたの「片付け」に対する前向きな姿勢が、親御さん自身の「自分の荷物もやってみようかな」という気持ちを自然と引き出すことにつながるかもしれません。
小さな一歩が、大きな変化の「窓」を開く
親に直接片付けを促すのは、大きなエネルギーが必要です。
しかし、まずは「自分のモノを0にする」という小さな一歩は、比較的ハードルが低く、実践しやすいのではないでしょうか。
この小さな行動が、親子のコミュニケーションを深め、親御さんの心もほぐし、最終的には実家全体の片付けへと繋がる、大きな変化のきっかけとなることがあります。
もし、この「自分のモノの片付け」でさえも、量が多すぎたり、遠方でなかなか帰省できなかったりして難しいと感じたら、思い切ってプロの力を借りる選択肢もあります。
抱えきれない大規模な片付けの悩みに寄り添ってくれる、安心して頼れる専門サービスを頼りましょう。
親への説得に悩んだら、まずは自分の荷物から。
その行動が、実家の片づけの一歩を踏み出す「窓」となることを願っています。

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