「捨てられない親」を責めないで。親子関係を深める「活かす片付け」の魔法

実家の多すぎるストックを分けてもらいながら片付け 生前整理
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実家の片付け、頭を悩ませていませんか?

「そろそろ、もう少し身軽になってほしいんだけど…」
「モノが多すぎて、何かあった時に心配…」

そう思って親御さんに声をかけても、なかなか話が進まらなかったり、かえって険悪な雰囲気になってしまったり。
そんな経験、きっと少なくないはずです。

でも、ちょっと待ってください。
もしあなたが、親御さんの「捨てられない」という気持ちを「なんで?」と疑問に思っているなら、まずはその「なんで?」の背景にある世代間のギャップを理解することから始めてみるといいかもしれません。

ある一定以上の年代の方にとって、「物は捨てられない」は、もはやデフォルト設定。
すっきり片付いた部屋を好む人は、実はごく稀なケースなのです。

捨てられないのではなく、むしろ「捨てたくない」と強く思っています。

なぜ、親世代は「物が多め」で「捨てられない」のか?

主に70代以降の親世代が、物を多く持ち、捨てることに強い抵抗を感じるのには、いくつかの深い理由があります。
それは、決して「片付けが苦手」といった単純な話ではありません。

「もったいない」精神の根源

親世代の多くは、戦後の物資が不足していた時代を経験しています。
物が手に入りにくく、壊れても修理して使い続けるのが当たり前。
食べ物はもちろん、衣類や日用品1つとっても、「いつか使うかもしれない」「まだ使えるのに捨てるなんてとんでもない」という感覚が、骨の髄まで染み付いているのです。
つまり物を捨てることは、自らの生きてきた歴史や、苦労して手に入れてきた物を否定する行為に等しいのです。

「思い出」=「生きてきた証」だから

一つひとつの物には、家族との思い出、友人との絆、人生の節目、そして故人との記憶が詰まっています。
古い手紙、子供が作った工作、昔の写真、使い込んだ食器…。
それらは単なる「物」ではなく、親が懸命に築いてきた「生活」そのものなのです。
それらを捨てることは、まるで自分の人生の一部を切り捨てるかのように感じられ、強い拒否反応を示してしまうのは当然のことと言えるでしょう。

「安心感」と「備え」の象徴だから

物がたくさんあることは、親世代にとって「何かあった時に困らない」「いざという時に役立つ」という安心感を与えます。
また、年齢を重ねるにつれて、身体的な不安や将来への漠然とした不安が増す中で、身の回りの物が自分を守ってくれる盾のように感じられることもあります。
「備えあれば憂いなし」「大は小をかねる」という考えは、親世代が培ってきた知恵と経験が隠されているのです。

「持ち家」「愛車」など、所有することがステイタスの時代でもありました。

親の「捨てられない」気持ちは否定しない!感謝と共感が魔法の鍵

親御さんの「物が多め」な状態は、懸命に生きて家族を守り、物を大切にしてきた証です。
ここを否定してしまっては、親子の間に深い確執が生まれるばかり。

  • 「なんでこんなもの取ってあるの?」
  • 「もう使わないでしょ、捨てなよ!」

こんな「北風」のような言葉は、親御さんの心を硬く閉ざしてしまうだけですね。

大切なのは、太陽のように寄り添い、感謝と共感の気持ちを伝えること。

「こんなにたくさんのものに囲まれて、私たち家族は安心して過ごせていたんだね、ありがとう」という気持ちを伝えられるのが、ベストです!

「捨てる」ではなく「活かす」提案で、穏やかにモノを動かす魔法!

一方で親御さんも、心のどこかで「なんとかしなきゃ」と思っているかもしれません。
ただし、「捨てる」という行為への強い抵抗は消えません。

そこで有効なのが、「捨てる」以外の選択肢、つまり「活かす」提案です。

例えば、

  • 「めったに来ないお客さんのためにとっておいた、5個セットのお皿」
    →「ああ、ちょうどこのくらいのお皿探してたんだ!もらっていっていい?すごく助かるよ!」と、まるで宝物を見つけたかのように喜びを伝えてみましょう。
  • 「もうずっと袖を通していないけれど、まだきれいな服」
    →「これ、古着好きの友達にあげたら絶対喜ぶと思うんだ!どうかな?」と、その服が誰かの役に立つ喜びを提案してみましょう。
  • 冷蔵庫や食品庫にあふれる大量のストック品
    →「最近、調味料とか色々なものが値上がりしてるでしょ?もし良かったら、いくつかシェアしてほしいんだけど…」と、困っていることや役に立ちたい気持ちを伝えてみれば、喜んで分けてくれるはずです。

ポイントは、「とっておいてくれてありがとう」という感謝と、「それを私が(あるいは誰かが)有効活用できる」という未来のイメージを伝えること。

親御さんは、自分の大切にしてきた物が無駄にならず、誰かに喜んで使ってもらえることに、大きな喜びを感じてくれるハズです。

実際に引き取った実家のものを、その後ご自身で使わなくても問題ありません。

無駄にせず喜んで受け取ってくれた、その事実だけで、ほとんどの親御さんは「よかった!」とすっきりしてくれます。
その後の処分の権限は、完全にこちらに移行していると考えて大丈夫です。

実家の片づけ
親と喧嘩せずに進める方法

理解のある親御さんであれば、「この服、フリマサイトで出せば、けっこういいお小遣いになるかも!やってみてもいい?それでみんなで美味しいもの食べに行こうよ!」と、具体的なメリットと楽しい未来を提案しても、受け入れてくれるかもしれません。

これは、これまでの親御さんの生き方を否定せず、やんわりと実家から物を少なくしていく、新しいコミュニケーションの形なのです。

親子の信頼を深め、もっと心地よい未来へ

「活かす片付け」を通して親子のコミュニケーションを図り、信頼を深めていくと、親御さんの気持ちにも少しずつ変化が訪れるかもしれません。

「そろそろ、もう少し風通しの良い部屋にしようかな」
「今はシェアするっていう素敵な考え方が主流なんだね」
「これからは、こんなにストックする必要もないかな」

そうやって親御さん自身の気持ちが前向きに変化してきた時が、本格的に生前整理を進めるチャンスです。
特に、まだお体が元気なうちに、プロに片付けを依頼するのも非常に有効な方法です。

プロは、あなたの親御さんの「捨てられない」気持ちに寄り添いながら、効率的かつ丁寧に整理を進めてくれます。
まるで新しい家に引っ越したかのような、清々しく心地よい感覚を親御さんに味わってもらえたら、これほど嬉しいことはありません。

生前整理は、決して「処分」がメインの作業ではありません。
より豊かな未来を築くための、お互いが優しい気持ちになれる共同作業になれたらいいですね。

筆者プロフィール
pecha

「片付けの窓」を運営している、ぺちゃと申します。
私自身、幼い頃から「ものが少ないほど心が息をしやすい」と感じる性格で、断捨離や「捨て活」を通して、心と暮らしが整う喜びを深く実感してきました。
片付けで悩む皆さんと同じ目線に立ち、1人では抱えきれない大規模な片付けの解決策や、安心して頼れる情報をお届けしたいと思っています。

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